190227-009日本海溝沿い長期評価

日本海溝沿いの新たな30年地震発生確率予測が発表に、ポイントは


 
2019年02月26日に政府の地震調査委員会が「日本海溝沿いの地震活動の長期評価」を発表し、東北地方太平洋側における「超巨大地震」「プレート間巨大地震」「ひとまわり小さいプレート間地震」等の地震発生予測を発表した。ポイントはどこにあるのだろうか。

 

日本海溝沿いの地震発生確率に新たな30年予測

地震調査委員会ではこれまでにも、青森県東方沖から房総沖までの太平洋沿岸を含む日本海溝沿いにおける地震活動を長期評価してきたが、今回は東日本大震災が発生した2011年11月に発表していた「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価(第二版)」を改訂する内容で、評価対象領域を以下の通り定義すると共にそれぞれの領域における「プレート間巨大地震」「ひとまわり小さいプレート間地震」等について評価している。

・青森県東方沖及び岩手県沖北部
・岩手県沖南部
・宮城県沖
・福島県沖
・茨城県沖
・房総沖
・青森県東方沖から房総沖にかけての海溝寄り
・海溝軸外側
・沈み込んだプレート内

これらについての評価は以下の通りである。

1.青森県東方沖及び岩手県沖北部
・プレート間巨大地震 M7.9程度 30年以内5~30%
・ひとまわり小さいプレート間地震 M7.0~M7.5 30年以内90%程度以上

2.岩手県沖南部
・プレート間巨大地震 可能性はあるものの規模・発生確率等は不明
・ひとまわり小さいプレート間地震 M7.0~M7.5 30年以内30%程度

3.宮城県沖
・プレート間巨大地震 M7.9程度 30年以内20%程度
・ひとまわり小さいプレート間地震 M7.0~M7.5 30年以内90%程度以上
・宮城県沖の陸寄りで繰り返し発生するひとまわり小さいプレート間地震 M7.4前後 30年以内50%程度

4.福島県沖
・プレート間巨大地震 17世紀以降知られておらず規模・発生確率等は不明
・ひとまわり小さいプレート間地震 M7.0~M7.5 30年以内50%程度

5.茨城県沖
・プレート間巨大地震 17世紀以降知られておらず規模・発生確率等は不明
・ひとまわり小さいプレート間地震 M7.0~M7.5 30年以内80%程度

6.房総沖
・プレート間巨大地震 知られておらず規模・発生確率等は不明
・ひとまわり小さいプレート間地震 M7程度 30年以内70%程度

7.青森県東方沖から房総沖にかけての海溝寄り
・青森県東方沖から房総沖にかけての海溝寄りのプレート間地震(津波地震等) Mt8.6~9.0 30年以内30%程度

8.海溝軸外側
・海溝軸外側の地震 M8.2前後 30年以内7%

9.沈み込んだプレート内
・沈み込んだプレート内の地震 M7.0~M7.5程度 30年以内60~70%
 

メディアが注目したのは

地震調査委員会による今回の長期評価について、メディアはどの部分に焦点を当てて報じたのだろうか。

東日本大震災型の超巨大地震(東北地方太平洋沖型)に関し地震調査委員会では「今後30年以内の地震発生確率はほぼ0%と評価される」としている一方で、例えば宮城県沖におけるひとまわり小さいプレート間地震についてはM7.0~M7.5が30年以内に90%程度以上の高い確率で発生すると予測している。

超巨大地震への懸念が減少する一方で被災地震となり得るM7クラスへの懸念が増した形だが、NHKや主要全国紙、それに通信社の多くはM7クラスの高い発生確率に注目しているようだ。各メディアのタイトルはこのようになっている。

【NHK】「日本海溝」沿い M7クラス大地震 “30年以内に90%以上”
【読売新聞】M7級が宮城沖で90%…調査委、30年予測
【朝日新聞】宮城県沖、M7級の地震確率は「90%」30年以内に
【日本経済新聞】東北沖地震、M7超の発生確率「30%以上」 警戒必要 政府調査委
【産経新聞】東北地方太平洋沖のM7級地震、高い発生確率 政府が日本海溝で新想定
【毎日新聞】地震調査委 日本海溝、M8級高確率 宮城沖20%に上昇 30年以内
【KYODO】日本海溝沿いM7超の危険 30年以内、政府調査委が予測
【JIJI.COM】M7~8弱地震、確率高い=日本海溝沿い、長期評価更新-政府調査委「十分注意を」
 

ポイントは「上記確率より高い可能性がある」

では、今回の長期評価はM7クラス発生の危険性が増大したという形で捉えるのみで良いのだろうか。

上記の通り30年以内の地震発生確率が示された今回の長期評価だが、実は各所に気になる表現が散りばめられている。こんな一文が添えられている箇所が目立っているのだ。

「ただし、東北地方太平洋沖地震の余効すべりによる応力変化の影響で、当該領域では東北地方太平洋沖地震以前の平均的な状況と比べて、当該地震が発生しやすくなったと考えられる。したがって、地震発生確率は上記の確率より高い可能性がある。」

こうした表現はこれらの箇所で見られている。

・青森県東方沖及び岩手県沖北部「プレート間巨大地震」
・青森県東方沖及び岩手県沖北部「ひとまわり小さいプレート間地震」
・宮城県沖「プレート間巨大地震」
・宮城県沖「ひとまわり小さいプレート間地震」
・福島県沖「ひとまわり小さいプレート間地震」
・茨城県沖「ひとまわり小さいプレート間地震」

このうち「プレート間巨大地震」の「青森県東方沖及び岩手県沖北部」と「宮城県沖」で想定されている地震の規模は共にM7.9程度で、地震発生確率は前者が「5~30%」後者が「20%程度」とされているが、こうした巨大地震の発生確率が想定より「高い可能性がある」と指摘されている点については要注意と言えるだろう。

また「海溝軸外側の地震」として言及されているアウターライズ地震に関し「プレート間地震の後に続けて発生することがある」と指摘、東日本大震災後のアウターライズ巨大地震発生についても否定せずこのように注意を喚起している点についても注目される。

「2011年に発生した東北地方太平洋沖地震以降、長期間に渡って当該地震に注意する必要がある」
 
関連URL:【地震調査委員会】日本海溝沿いの地震活動の長期評価(PDF) 【NHK】「日本海溝」沿い M7クラス大地震 “30年以内に90%以上” 【読売新聞】M7級が宮城沖で90%…調査委、30年予測 【朝日新聞】宮城県沖、M7級の地震確率は「90%」30年以内に 【日本経済新聞】東北沖地震、M7超の発生確率「30%以上」 警戒必要 政府調査委 【産経新聞】東北地方太平洋沖のM7級地震、高い発生確率 政府が日本海溝で新想定 【毎日新聞】地震調査委 日本海溝、M8級高確率 宮城沖20%に上昇 30年以内 【KYODO】日本海溝沿いM7超の危険 30年以内、政府調査委が予測 【JIJI.COM】M7~8弱地震、確率高い=日本海溝沿い、長期評価更新-政府調査委「十分注意を」
※画像は地震調査研究推進本部より。