190317-009関東大震災直前の関東地方地震の傾向性

1922年関東大震災前年の地震データが公開に、現在の関東地方傾向は


 
2019年03月15日に気象庁が1922年の地震データを発表、これまで1923年以降だったデータベースが1922年以降を追加して公開された。大正関東地震を始めとする関東大震災の前年、どのような地震が起きていたのだろうか。現在の状況と類似点はあったのだろうか。

 

1922年の地震データが発表に

1922年に発生した地震として新たに登録されたのは159件。そのうち被害地震としては4つ記録されており、中でも04月26日の浦賀水道地震(M6.8)と12月8日に橘湾でM6.9・M6.5が連発した地震が顕著だったと言う。

他にも10月25日に千島列島でM7を超えるM7.3の地震が起きていた他、12月09日の青森県東方沖M6.8や01月23日の福島県浜通りM6.5、それに07月06日の宮城県沖M6.5など日本海溝から千島海溝にかけての一帯で強い地震が多発していた。

ただし、1922年の地震で最も注目されるべきなのは1923年09月01日に発生した大正関東地震M7.9・震度6を始めとする関東大震災の前に、関東地方ではどのような地震が起きていたのかという点における傾向性が示される可能性が出た点だろう。

相模トラフ沿いが大きく揺れた大正関東地震と関東大震災の前年、関東地方ではどのような地震が目立っていたのだろうか。

大正関東地震直後に関東地方付近で発生したM6.5以上の地震一覧
1923年09月01日11:58 M7.9 深さ23km 震度6 大正関東地震
1923年09月01日12:01 M6.5 深さ00km 震度3 伊豆大島近海
1923年09月01日12:03 M7.3 深さ00km 震度5 相模湾
1923年09月01日12:23 M6.5 深さ42km 震度5 相模湾
1923年09月01日12:40 M6.5 深さ39km 震度3 相模湾
1923年09月01日12:47 M6.8 深さ00km 震度5 山梨県中・西部
1923年09月01日14:22 M6.6 深さ00km 震度5 静岡県伊豆地方
1923年09月01日16:37 M6.6 深さ00km 震度5 静岡県東部
1923年09月02日11:46 M7.3 深さ14km 震度5 千葉県南東沖
1923年09月02日18:26 M6.9 深さ27km 震度5 千葉県東方沖
1923年09月02日22:09 M6.5 深さ24km 震度5 静岡県伊豆地方
 

大正関東地震前に関東地方で起きていた地震の傾向

大正関東地震の震源の深さは23kmであったことから、88kmと異なる深さであったという点において慎重に捉える必要はあるものの、1922年には関東地方で際立った地震が起きていた。1922年04月26日の浦賀水道地震である。

大正関東地震の震源が神奈川県西部であったのに対し、M6.8・震度5という規模で発生した浦賀水道地震の震源は神奈川県東部とされている。

関東大震災から遡ること16ヶ月前に起きた浦賀水道地震以降、大正関東地震までに記録された関東地方M6以上を羅列してみよう。

1922年05月09日 M6.1 震度3 茨城県南部
1922年06月03日 M6.2 震度2 茨城県沖
1923年01月14日 M6.0 震度3 茨城県南部
1923年05月26日 M6.2 震度2 千葉県東方沖
1923年05月31日 M6.2 震度2 茨城県沖
1923年05月31日 M6.1 震度1 茨城県沖
1923年06月02日 M7.1 震度4 茨城県沖
1923年06月02日 M6.8 震度5 千葉県東方沖
1923年06月07日 M6.0 震度1 関東東方沖
1923年07月21日 M6.0 震度1 東海道南方沖
1923年08月24日 M6.0 震度3 福島県沖

04月の浦賀水道地震以降、05月と06月に茨城県でM6超えが2度起きてから1923年初めまで沈黙。その後1923年05月と06月に3回ずつM6を超える地震が頻発した後に09月の大正関東地震へと繋がっていった。

M5.0からM5.9の規模の地震はどうだっただろうか。関東大震災直前の7月・8月に関東地方で発生していたM5台の地震は07月21日の茨城県沖M5.1・震度2と08月20日の茨城県沖M5.9・震度2の2回のみ。やはり直前期に強い地震は起きていなかった。

まとめると1年半前にM6.8の浦賀水道地震が発生してから約1年間静穏状態が続き、1923年05月と06月に2回のM7クラスを含む6回のM6超えが連発し、3ヶ月後にM7.9の大正関東地震という流れとなる。
 

関東大震災前と現在、類似点は

相模トラフ沿いで発生するM8クラスの地震は大正関東地震が1703年12月31日の元禄関東地震(M8.2)以来であったと考えられていることから、次回の同規模地震が起きるのはまだ先との考えが主流であり、30年予測においても「相模トラフ沿いのM8クラスの地震」としてはM7.9~M8.6の規模の地震が今後30年以内に「ほぼ0~6%」とされている。

だが、東日本大震災の影響で次の相模トラフ沿いM8クラスの地震が想定より近づいていると考える専門家もいる。未曾有の震災であったM9.0の超巨大地震によって先行きが不透明な首都直下地震だが、大正関東地震前に似た傾向性が見られば、警戒レベルを高める一助となるであろう。では、現在は1922年から1923年にかけての時期と相似性はあるのだろうか。

2016年以降、これまでに関東地方で起きたM6を超える地震は2016年12月28日の茨城県北部M6.3・震度6弱と2018年07月07日の千葉県東方沖M6.0・震度5弱程度であり、頻発しているとは言い難い。だが、近接している福島県沖や関東東方沖まで含めると2016年09月23日の関東東方沖M6.7や2016年11月22日の福島県沖M7.4などM7クラスが続いた時期もあるのだ。

2016年以降の関東近郊M6以上
2016年09月23日 M6.7 震度1  関東東方沖
2016年11月22日 M7.4 震度5弱 福島県沖
2016年11月24日 M6.2 震度4  福島県沖
2016年12月28日 M6.3 震度6弱 茨城県北部
2017年10月06日 M6.3 震度2  福島県沖
2017年11月16日 M6.0 震度3  八丈島東方沖
2018年07月07日 M6.0 震度5弱 千葉県東方沖
2019年03月11日 M6.0 震度3  福島県沖

2016年11月から12月にかけてM7.4や震度6弱が相次いだ後、2017年2回、2018年2回とM6以上が少ない静穏期が続いていたが、つい5日前には再び福島県沖でM6.0・震度3が発生したばかりである。

03月上旬には千葉県銚子市でマッコウクジラの死骸が打ち上げられたという話題もあったばかりの関東地方だが、次の相模トラフM8クラスの際には、大正関東地震の際の展開を踏襲するのだろうか。
 
関連URL:【気象庁】1922(大正11)年の気象庁地震カタログの作成について