190318-009千葉県南東沖3連発

相模トラフ沿いの千葉県南東沖で未明に有感地震が3連発


 
2019年03月18日未明、千葉県南東沖で有感地震が3回連続で発生した。相模トラフの北側に位置する千葉県南東沖における地震連発は関心を呼びそうだが、M8クラスも起き得る相模トラフ沿いは現在、どのように評価されているのだろうか。また千葉県南東沖連発後の傾向性に何らかの特徴はあるのだろうか。

 

2018年に地震増加に転じた千葉県南東沖で3連発

03月18日03:19 M2.8 震度1 千葉県南東沖
03月18日03:24 M3.2 震度2 千葉県南東沖
03月18日03:40 M3.0 震度1 千葉県南東沖

千葉県では千葉県東方沖でも03月14日から17日朝にかけてM4.2・震度3を含む計4回の有感地震が起きるなど地震活動が活発化しているが、千葉県東方沖における揺れの多くは犬吠埼付近を震源としており、今回の千葉県南東沖は房総半島の南部沖合が震源であることから、関連性については現時点では高いとは言えない。

千葉県南東沖における近年の地震発生傾向においてまず知っておきたいのは、東日本大震災以降減衰傾向にあった有感地震発生数が2018年に増加に転じたという点だ。

千葉県南東沖有感地震発生数
2011年 12回
2012年 13回
2013年 03回
2014年 03回
2015年 02回
2016年 04回
2017年 01回
2018年 10回

2011年、2012年に10回を超えていた有感地震発生数はその後減少したが、2018年に10回と再び増加しており、2019年も02月26日のM4.2・震度1に続く今回の3連発で、早くも4回の揺れを観測しているのである。

千葉県南東沖は相模トラフのすぐ北側に当たり、M8クラス以上も想定される首都圏に多大な影響を及ぼしうる場所であることからその動向には敏感であるべきだが、ではつい最近発表されたばかりの「日本海溝沿いの地震活動の長期評価」では今後の30年予測についてどのように記述されているのだろうか。
 

相模トラフ沿い地震活動の評価は

02月26日に地震調査委員会が発表した「日本海溝沿いの地震活動の長期評価」では青森県東方沖から房総沖までの関東・東北地方太平洋側における地震活動が解説されており、「房総沖」については「プレート間巨大地震」が確認されておらず、「ひとまわり小さいプレート間地震」に関しては2014年04月に発表された「相模トラフ沿いの地震活動の長期評価(第二版)」で評価されているとして、新たな評価は加えられなかった。

では「相模トラフ沿いの地震活動の長期評価(第二版)」では、相模トラフ沿いで発生する地震についてどのように解説されていたのだろうか。

そこでは大きく2つの形態の地震について指摘されている。「相模トラフ沿いのM8クラスの地震」と「プレートの沈み込みに伴うM7程度の地震」である。

前者については1923年の大正関東地震や1703年の元禄関東地震をはじめこれだけの地震を例示している。

1257年10月09日 M7.5 生嘉鎌倉の地震
1293年05月27日 M7.0 永仁関東地震
1433年11月06日 M-.- 永享相模の地震
1495年09月12日 M-.- 明応鎌倉の地震
1703年12月31日 M8.2 元禄関東地震
1923年09月01日 M7.9 大正関東地震

その結果、「相模トラフ沿いで発生する地震には、多様性がある可能性がある」として現在、30年予測としてはM7.9~M8.6の規模の地震が「ほぼ0~6%」の確率で発生するとしている。

相模トラフ沿いでのM8クラス地震に関しては大正関東地震と元禄関東地震を類型として考えられてきたが、当時、地震調査委員会は「M8クラスのプレート境界地震を大正型と元禄型の二つのみに類型化することは困難」として別の形のM8クラスが想定されるとの見解を示した格好。

上記の例示地震がこうした地震に当てはまっていたとすれば、中には40年、60年といった間隔で房総半島で大地震が起きていた時期もあったことから、大正関東地震から既に90年近くが経過した現在、再び首都圏をM8クラスの巨大地震が襲う可能性が拭えないとの認識を持っておくべきだろう。

次に相模トラフ沿いにおける「プレートの沈み込みに伴うM7程度の地震」についてはどのように解説されていたか見てみよう。

これに関しては現在、M6.7~M7.3程度の地震が30年以内に70%程度と高い確率で発生すると予測されており「特定の震源域で繰り返し発生する地震として扱うことは困難」「評価対象領域内のどこかで発生するもの」と評価されている。

より切迫性を感じさせるのは、1703年の元禄関東地震と1923年の大正関東地震の間の220年間に平均して27.5年に1回、M7クラスの地震が発生していたのに対して、直近で起きた「プレートの沈み込みに伴うM7程度の地震」が1987年12月17日の千葉県東方沖M6.7であったことだ。

既に30年以上経過していることになるため、M7クラスの地震については予断を許さない状態なのである。
 

千葉県南東沖3連発以上の事例とその後の傾向

相模トラフ沿いのM8クラス及びプレートの沈み込みに伴うM7程度の地震いずれについても警戒が必要な房総半島南部付近だが、では、千葉県南東沖で今回のように地震が連発した場合には、その後の発震にどのような傾向性が見られてきたのだろうか。

1922年以降、千葉県南東沖で同日中に3回以上の有感地震が発生した事例は5回。それらについて、その後の地震発生状況を追跡してみると、顕著な傾向性こそ見られなかったものの、周囲の震源における強い地震に繋がっていた例もみられた。

1982年03月27日に千葉県南東沖で5回の揺れが相次いだ際には2日後に福島県沖でM5.0。また1973年01月20日に千葉県南東沖で3回連発した時は翌日千葉県東方沖でM5.1と数日以内に付近でM5を超える規模の地震が起きていたケースがあった。

更に1935年06月29日の千葉県南東沖3連発では、20日後の07月19日に茨城県沖でM6.9・震度5という強い地震が引き起こされていたのである。

こうした事例からは、数日以内の関東・東北南部におけるM5クラスにまずは十分注意すべきと言える。
 
※画像は気象庁より。
関連URL:【地震本部】相模トラフ沿いの地震活動の長期評価(第二版)について