190802-009チリM6.8とその後の南海トラフ

チリでM6.8地震、南海トラフへと繋がった事例も多数


 
2019年08月02日の日本時間03:28にチリでM6.8の地震が発生した。チリでは01月20日に今回より北側でM6.7が起きていたが、この時過去の事例から南米M7以上への注意を促したところ、エクアドルM7.5やペルーM7.0へと繋がっていった。では、今回の震源付近ではどのような傾向性が見られてきたのだろうか。

 

チリでM6.8、前日のバヌアツM6.6に続いて

今回の地震は2019年としては世界で22回目のM6.5以上となり、前日にはバヌアツでM6.6が起きたばかりであった。2018年に22回目のM6.5以上を記録したのが2018年09月06日の北海道胆振東部地震であったことに照らせば、2019年は引き続き前年より地震活動が活発であるとの認識を崩すべきではなく、2日連続でのM6.5以上発生は短期的にも強い地震の連鎖に留意すべき状態であると言える。

チリでは2019年01月20日に今回の震源より北側に当たる場所でM6.7の地震が起きていた。当時、過去の事例からその後5例中3例で南米におけるM7以上大地震に繋がっていた、と紹介し「南米における大地震に注意」としていたが、その後やはり南米での大地震が観測されていた。

02月22日にはエクアドルでM7.5が、03月01日にもペルーでM7.0がそれぞれ発生していたのだ。

01月20日のチリM6.7もこれまでの事例通りの推移を辿った形だが、震源の深さが63kmと今回の10kmよりも深い位置であったことから、今後の傾向を示すに当たりそのまま当てはめるわけにはいかない。では、今回の震源付近で過去に見られた地震では、その後どのような経過を見せてきたのだろうか。
 

日本国内M7クラスの事例も

チリにおける今回のM6.8に近い震央で過去に発生してきたM6.5以上・深さ20km以下の地震について、その後2ヶ月間の世界M7以上大地震発生状況を追跡したところ、目立った傾向性は見つからなかった。

一方、日本国内については2つの傾向性が見られた。まずチリにおける過去の類似事例6例中、4例でその後2ヶ月以内に日本国内M7クラス以上に繋がっていたことである。

1961年10月にチリでM6.6が発生すると1ヶ月後の11月15日に釧路沖でM6.9・震度4。釧路沖では1992年11月のチリM6.5でも約1.5ヶ月後にM7.5・震度6の釧路沖地震が起きていた。

2010年03月のチリM6.5以上3連発では直後のタイミングで福島県沖M6.7・震度5弱とその5週間後の石垣島南方沖M6.6・震度2が発生。

4つ目の事例は2004年08月28日のチリM6.5だが、この時は1週間後に三重県南東沖でM7.1とM7.4、紀伊半島南東沖地震の直前であった。

三重県南東沖では07月28日にM6.5が発生したばかりであることから南海トラフへの波及という観点でもう少し掘り下げてみよう。M5以上まで範囲を広げると、今回のチリM6.8周辺の震源以降、南海トラフ関連震源での強い揺れは少なくなかったのである。これが2つ目に見られた傾向性である。
 

注意すべき南海トラフ関連M5以上

チリにおける今回のM6.8震源付近でM6.5以上が観測された過去の6事例のうち、その後2ヶ月以内に南海トラフ関連でM5以上が起きていたのは6例中6例と全てであった。

1961年10月にはチリの5週間後に大隅半島東方沖でM6.1・震度4、1992年11月の際には1.5ヶ月後に愛知県西部でM5.0・震度3、1973年10月のケースではチリから3週間後に鳥取県西部でM5.1・震度3が起きた後、その1ヶ月後に和歌山県北部でM5.9とM5.7が連発。

そして残る3事例では全て、三重県南東沖が揺れていた。前述した2004年の紀伊半島南東沖地震の他、1958年09月のチリM6.8では4日後の周防灘M5.7、その1週間後の日向灘M5.8に続いて1ヶ月後に三重県南東沖でM5.1が発生していた。

また2010年03月のチリM6.6でも1.5ヶ月後に三重県南東沖ではM5.2の地震が記録されていたのだ。南海トラフ関連と三重県南東沖については、念の為注意しておいた方が良いだろう。
 
※画像はU.S. Geological Surveyより。