180902-009slowslip

2018年09月南海トラフにおけるスロースリップが「最後のひと押し」になる可能性


 
2018年09月01日に放送されたNHKスペシャル「MEGAQUAKE」において、スロースリップが南海トラフ巨大地震に及ぼす影響について解説されていた。「最後のひと押し」になる可能性があるというのである。

南海トラフにおけるスロースリップ

今回の「MEGAQUAKE」は「南海トラフ巨大地震 迫りくる”Xデー”に備えろ」というタイトルで、経済損失が1,410兆円に上り最大で死者32万人とされる南海トラフ巨大地震の「Xデー」が迫りつつある現状と、臨時情報が発表された場合に想定される懸念についてシミュレーションドラマで伝えていたが、注目されるのはスロースリップが南海トラフ巨大地震の発生に影響を及ぼす可能性が専門家によって指摘された部分。

スロースリップについては06月11日に房総沖でスロースリップが発生しているとして地震調査委員会が地震への注意を喚起する発表を行った際、その直後に千葉県東方沖でM4.9・震度3が起きたことから大きな関心を集め、その後も震度4やスロースリップ収束後の07月07日にM6.0・震度5弱が発生していたのが記憶に新しい。

南海トラフにおいてもこれまでに度々、スロースリップ発生が報じられてきたが、直近で地震が起きる可能性と結びつける形ではなかったことから、南海トラフ巨大地震の震源域付近におけるスロースリップについてはそれほど注目度が高かったとは言えないだろう。

地震調査委員会が08月09日に発表した「2018年7月の地震活動の評価」においても、南海トラフ周辺では愛媛県中予から南予にかけて、また豊後水道といったプレート境界付近を震源とする場所において「短期的ゆっくりすべり」に起因すると推定される深部低周波地震が観測されていたが、「南海トラフ沿いの大規模地震の発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない」と結論付けられていた。

だが、今回の「MEGAQUAKE」では、南海トラフ巨大地震の固着域付近で起きるスロースリップが巨大地震発生の「最後のひと押し」となる恐れについて言及されているのだ。
 

スロースリップが最後のひと押しになる可能性

東西700kmにも及ぶ南海トラフで固着域が一気にずれ動いた場合、最大でM9.1もの超巨大地震が起きる可能性があり、東京でも東日本大震災以上に大きく揺れると考えられているが、日本に甚大な影響を与えるであろうこの地震が発生するXデーの鍵を握っているのがスロースリップだというのである。

これは東北大学の髙木涼太助教が「Xデーの鍵を握るのがスロースリップ」だとして注目しているもので、調査の結果、南海トラフでは固着域から離れた場所で起きたスロースリップが時間の経過とともに固着域に近づく動きを繰り返しているという。

南海トラフの西端、固着域から100kmも離れた日向灘で2002年にスロースリップが発生するとその後固着域に近づくように2003年、2004年と相次いでスロースリップが起き、同様の現象が2006年や2013年から2015年にかけても見られたそうだ。

スロースリップによってプレートの一部がゆっくりとずれ動き、それによって周辺の岩盤に歪みが生じ隣の領域でもスロースリップが発生するものと考えられ、こうした動きが繰り返されることで固着域近くでもスロースリップが起きる。

固着域を刺激するこの繰り返しが巨大地震を発生させるとの指摘で、東京大学地震研究所の小原一成所長は、1回ずつのスロースリップが与える影響は微弱だが、最後のひと押しとして作用する可能性がある、と番組内で述べていた。

南海トラフにおけるスロースリップ発生に関する情報に対しこれまでよりも高い関心を持って臨むべきであろう。
 
※画像は番組より。
関連URL:【NHK】MEGAQUAKE 南海トラフ巨大地震迫りくる“Xデー”に備えろ 【地震調査委員会】2018年7月の地震活動の評価